心を伝えるネット安全教育

〜愛媛の情報教育10周年記念号投稿文〜
当時:Cyber Guardian Angels JAPAN 担当として活動時の記録
全投稿文は一番下からダウンロードできます


その3

 少し沈黙した後、「総会は来年も出られますが、今Nさんを助けられるのは自分しかいません。朝一番の列車で栃木へ行ってきます。」

 そう伝えたところ、理事長は「分かりました。総会は大丈夫ですから、気をつけて行ってきてください。」と私の選択に快諾してくれた。

 東京駅で栃木行きの列車を待っていると、1人の若者が私の横に来た。

 「自分も一緒に行きます」当時20歳の大学生であった彼は、池袋を拠点に活動する日本ガーディアン・エンジェルスのメンバーの一人で、仲間から「ホーク」と呼ばれていた。

「ホーク、昨日寝た?」

 私がそう聞くと、「いえ、渋谷のパトロールを終わらせ、朝まで六本木でパトロールをしていました。」と答えた。

 言葉のとおりホークのほほはこけ、疲れ切っている様子が手に取るように分かった。

 私が栃木へ出向くことを、本部から聞いて駆けつけてきたそうだ。

 元来、お節介をモットーにするガーディアン・エンジェルスのメンバーは、「みて見ぬふりをしない」という合い言葉の下、犯罪抑止のパトロール活動や安全安心まち作りのお手伝いなどが大好きな人の集まりなのである。

 彼もその一人であり、相談対応をしている事を知っていた彼は、「自分も手伝いたい」と申し出てくれたのだ。

 「今日は帰った方がいい。昨日寝ていなかったら、冷静な判断ができない。却ってじゃまになるかもしれない。」そう諭す私の言葉を、彼は頑として受け入れなかった。

「自分にもできることがあると思います。」

 そう言う彼が頼もしく思え、「一人より二人だな」と思いながら、私は彼と供に栃木行きの特急に乗車することとした。

 相談者のNさんは、住宅資材輸入業の夫と事業手伝いに妻、中学3年生の長女と中学2年生の次女の4人家族である。

 Nさんと知り合ったのは、一通の相談FAXであった。

 「中学2年になる娘が携帯電話でいじめを受けています。相手は分かっているけどどうしたらいいのか分かりません。
 
警察、探偵、あらゆるところへ相談しているけどまともに相手にしてもらえない中で、貴団体も知ったので相談してみました。」というような内容であった。

私は、日本のボランティア団体である

   特定非営利活動法人日本ガーディアン・エンジェルス理事

であり、同時に

   サイバー・ガーディアン・エンジェルス日本

を担当している。

 そのため、このようなIT技術に絡む相談は必ず私の元へ回ってくるのである。

 東京の新川にある日本事務局スタッフから、中学生女子被害の相談FAXが届いている旨の連絡を受けたので、まずはそのFAX原文を送ってもらい、後は自分が窓口として対応する旨相手に伝えるようにスタッフにお願いした。

 私達メンバーはお互いストリートネーム(あだ名)で呼び合っている。日本はもちろん、世界中で活動しいるそのポリシーは、
「お互いを敬い、社会的地位や性別、年齢などで差別せず、同じ目線で活動しよう」と誓い合っている。

 お互いを名前で呼ぶと、例えば、「鈴木さん、佐藤さん」などという風に、年齢や社会的地位などで遠慮をしたり、伸び伸びとした活動ができなくなる。それぞれが、同じ目線で言い活動ができなくなる虞を排除しているのである。

 ちなみに私は、「ハンター」と呼ばれている。

インターネット犯罪者を見つけ出して解決するからだそうだ。「そうだ」というのは、自分でネームをつけたのではなく、現理事長がそのように命名してくれたのである。



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